太管テナートロンボーンはオーケストラの1stなどでの使用が想定されますが641は651と並びヤマハのラインナップでも例外的というほど海外でもジャズ用名機として評判の高い機種で651はJJジョンソンでしたが641はカーティス・フラーの使用楽器として知られています(アルバムの写真参照)。海外サイトでも“Would be an excellent straight large bore jazz tenor. ”として紹介されていました。https://thebrass-exchange.com/content/yamaha-ysl-641-large-straight-tenor-rose-brass その後おそらくコストの問題から殆ど製造されなかった赤ベルテナーらしい、どこまでも優しくふくよかな響きが得意で、柔らかい音質のまま音量も必要になる場合に特に良いですが、クラシックのオケで音量にモノ言わせて使うのは違うんじゃないかと思います。 楽器の本質はヴァイオリンなど弦楽器が分かりやすいですが、なんといっても「造り」で響きの違いが出ます。今では能な手の込んだ造りの641や651はヤマハのトロンボーンの歴史でも唯一というほど海外でも未だに評価され続ける響きを持っています。金管楽器は弦楽器と違って耐久消費財のようなもので、短期的な寿命は主に扱い(維持管理)によってまず支配され、扱いが悪ければたちまち寿命を迎えます。扱いに問題がない場合、寿命は金属疲労の進行で規定されますが、造りが良ければパワーのあるプレイヤーの手でも相当な時間がかかり、生涯かけても金属疲労を起こさせるなんて無理じゃないかという人もいる一方、ペラペラの楽器であれば、逆にあっという間であろうと私は思います。 いわゆるビンテージがなかなか手を出せないのは、造りがわからないのと扱いもわからない場合が多いからですが、この641は大丈夫です。ジャズで長年使い込まれた傷や凹みが多数あり、写真で表現を試みましたが、奏者ならこれがどれほどちゃんと使われてきたかわかるはず。作動部は全て良好でスライドの操作感覚は特に素晴らしいです。 最初の持ち主の手でジャズ用にスモールシャンクに改造されていますのでジャズやってらしゃる方にお勧めですが、個人的にはスロート径が大きめのマウスピースが扱い良いと思います。本体とケースのみ。