●製作年:1786年●素材:ソフトペースト(軟質磁器)●サイズ(Pot à lait)直径(持ち手の端から口の先):12cm高さ:13cm装飾: Jacques-FONTAINE1752年-1807年まで”花絵/カメオ/金彩師”として在籍参考価格:-¥480,000マリー・アントワネット存命中の作品で、ロココ文化全盛期の作品となります。セーブルらしさのバラの描写はすべての愛好家の心を掴むことは間違いないと思います。セーブルお得意の藍色(ボーブルー)ラインにひとつずつ施された金彩。散りばめられたローズも、陰影、葉の様相すべて異なる表情を持っていますから、いつまで見ていても幸せな時間を噛みしめることができます。木の株を表現した持ち手の造形も見事です。正式名称はPot à lait。ピッチャーと聞くとミルク用の様な小さな物を想像しますが、なんとカップより大きくずっしり、存在感があります。満タンで300ml程ですので数名分ショコラショーなどを入れて供すればお客様は驚かれるでしょう。恐らくこれは2人用でジュネとして特注された作品の一部であると推測しています。1769年には既にセーブルはマイセンと同様の硬質磁器を作ることに成功していましたが、この時点でもまだ軟質に拘り続け、完全に移行するのはまだまだ先の話でした。硬質による発色の研究や素地との相性も中々受け入れられず、抜群の色合いの相性や温かみのある手に馴染む感じの軟質から切り替える程でもなく、余程のメリットがない限り必要もないと感じたからです。傷付きやすいという点ではやはり課題ではありました。ヨーロッパ各国の王侯を虜にした理由はこのシンプルな描画だけでも充分に味わっていただけると思います。2世紀半もの間、カケやワレもなく生き残ってくれました。焼成による黒点などはこの時代の手仕事独自の味でもあります。持ち手の金彩の根元部分のみ薄れたことにより一部修正されていますが、かなりの腕の職人によるもので、ほとんど違いは見分けられない程です。当時の華やかな時代に思いを馳せながら自分だけのティータイムを堪能していただければ幸いです。この機会に是非ご検討ください。